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第51話 知らなかったという言い訳

Auteur: 花柳響
last update Date de publication: 2026-07-23 06:00:16
 名前を呼ばれても、昔みたいに胸は動かなかった。

 ただ、少し疲れた。

「君なら分かってくれると思った。白鳥家も、有馬家も、今崩すわけにはいかない。莉々花はまだ若くて、不安定で……」

「私も、二十二歳でした」

 悠真の口が閉じた。

「私が黙っていれば、あれも全部『仕方なかった』で済んだんですか」

 返事はなかった。

「そういう意味で言ったんじゃない」

「じゃあ、何だったんですか」

 会議室の空調が、低く鳴っている。

 悠真は答えなかった。征臣も口を挟まなかった。

 私はバッグから、新聞社の出資資料を出した。莉々花と瀬里奈と悠真の名前に、細い付箋が貼ってある。

「……また『知らなかった』ですか」

 悠真の視線が、付箋の一つで止まった。

 莉々花の名前だ。

 紙の上で、彼の指が初めて震えた。

「莉々花さんが、情報提供者?」

 悠真の声は、思っていたより小さかった。

 否定でも、怒りでもない。手に持っていたものを落としかけた人の声だった。

「まだ決まってません。だから、残っているものを確かめます」

 そう言いながら、紙を一枚めくる。

 候補、という言
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